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少年剣士の育成のために

 都弘道館の創設者は武道専門学校の主任教授も務められた剣道範士十段小川金之助先生です。小川金之助先生は明治17年愛知県岩倉町に生を受けられ、13歳の時に北辰一刀流加藤貫一先生の門下生となられてから一生を剣道に捧げられました。その経歴の詳細はここでは省略させていただきますが大正昭和の日本剣道史に燦然と輝く功績を残されました。剣の実力は昭和の宮本武蔵と謳われる程で180センチを超える巨躯から繰り出される剣さばきは豪快でありながらセキレイの尾のように俊敏かつ華麗であったという事です。現在の弘道館の館章は7つ星に剣をあしらったものになっていますが、北辰一刀流の流れを汲む剣道場として北斗七星をデザイン化したものとなっています。弘道館の子供たちの道着や竹刀袋をはじめ様々な弘道館グッズにこの7星剣の館章を見ることができ、伝統と誇りの象徴となっています。

道館少年部の剣風は金之助先生や政之先生、根本先生の教え通り、「正しい剣道をすれば心が正しくなる」を愚直に守り徹底的に基本に忠実な稽古を黙々とやり続けています。試合に勝つことも大切ですが、剣道を継続することによって横道に逸れないように、素直でまっすぐに育つようにということを重要視しています。そのため時には素直な剣道であるがゆえに負けてしまう事もありますが、その先にあるもっと大きな喜びを掴んでくれると信じています。弘道館の先生はいつも「負けても良いから真っすぐ思い切って打って来い!」と子供達を叱咤激励しています。3代目の館長であった根本浩介先生が生前言っておられたのは「弘道館の子供達には豪傑さんや、やんちゃ坊主にはなって欲しくない、エレガントな剣道をする品格のある人物に育って欲しい」という事でした。ドクターであった根本先生らしい難しい注文でしたが「弘道館の子供達は良い剣道をしますね」とお褒めの言葉をいただくと少しは実現できているのかなと安堵しています。

 

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